投稿日:

ドリップコーヒーは理科のよう

二十年以上前、幼少の頃の我が家には、
コーヒー豆を挽く機械式のミルとサイフォンがあった。
今、思い返せばハイカラな代物があったものだ。

勿論、子供だった私は到底コーヒーは大の苦手で飲めたとし
ても砂糖を何杯も入れてさらに牛乳で薄めてカフェオレのよ
うにしないと飲めるものではなかった。

我が家の中でコーヒーを飲んでいたのは専ら父と、時々祖母。
そして客人が来た時。
けれども当時の私はこのミルとサイフォンをとても気に入っていた。

朝、早起きし父が起きてくる前にミルで豆を挽きサイフォンで
コーヒーを淹れるのが私の好きな「お手伝い」でマイブームでもあった。

硬いコーヒー豆が砕かれて粉になる様、
挽いた豆をサイフォンにセットしコポコポと音をたてながら
ドリップされたコーヒーがゆっくり、ゆっくりと一滴ずつ容器
の中に落ちていく様を見ているのが何だか理科の実験をしているようで楽しかったのだ。

それから十数年は経ち、自分でもコーヒーの美味しさがようやく
分かるようになってからは時々喫茶店に立ち寄るようになった。

初めて行く店で頼むのは「オリジナルブレンド」や「○○ブレンド」といった、
その店の名前が入っているものを注文している。

豆についてはそこまで通ではないので店主に全てお任せしてしまおうという判断である。
喫茶店には大抵、子供の頃に見たのとは比べ物にならな
い本格的な大きなサイフォんンがおいてあるので思わず見と
れてしまいコーヒーを待っている間、「実験」を眺めていた。
そう、コーヒーのドリップは科学の一種ではないか。